こどもせんよう

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池袋西口の改札を抜け大通りに面した2つ目の喫茶店の角を曲がり少し進んだ先にその本屋はある。

雑居ビルに挟まれた木造二階建て、決して広くはないがレトロな雰囲気で居心地の良い店内の、奥まったスペースに置かれた本棚。

他の棚は「文芸」や「学術書」など具体的に区分されているのだが、この棚には平仮名で「こどもせんよう」とだけ書かれている。
ただでさえ今どきの子供が立ち寄りそうもない古本屋なだけに、繁忙期だった過去の状態そのままに、店主の気まぐれで残されているといった印象だ。

しかしなぜか時折、店内で子供の声が聞こえる。
レジと本棚が並んでいるだけの店内で見渡す限り他に客はいないのだが。

それになぜ「児童向け」ではなく「こどもせんよう」なのだろう…


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ガラガラ

「こどもせんよう」の棚の下方、小さく「いりぐち」と書かれた引き出しが開くとともに子供達の快活な声が店内にこだました。
ファンタジー
公開:21/02/15 16:27
更新:21/02/15 16:30

義母ちゃん( 日本 )

Cラン地方大学生(21)
好きな言葉は「休日」です
1週間前くらいから本を読むことにハマってます

宜しくお願い致します。

Twitter: @guraguriraaaaan
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