一日遅れのバレンタイン

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渡せなかった。

今日の日付は、2月15日。本来なら、昨日既に人の手に渡っているはずのチョコが未だ目の前にある。
そして、視線の先をクラスの中心に移した。
その先にいたのは、クラスの人気者で幼なじみの男子。昔は「幼なじみだから」という理由でよくチョコをあげていたけど、彼への想いを自覚してしまった今年は、渡せずじまい。
(いや、別に、他の女子から大量に貰ってるだろーし)
うん、そうだ。実際昨日沢山の女子が彼の周りに集まっていた。
(そうと決まれば、もうこれは自分で)
「あ!チョコ!!」
「は!?」
気が付けば、彼が私の机からチョコを取り上げていた。
「何だやっぱり用意してたんだ!昨日くれなかったから諦めかけてたけど!」
「いや、どうせ他の子から貰って」
「断ったよ」
「え?」
「義理でいいからさ、好きな子から貰いたし!」
そう笑う彼に押し負けて、私は一日遅れのチョコを彼に差し出したのだった。
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公開:21/02/15 12:01

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