ブレーカーの落ちた夜

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ばつんと音を立てて部屋が真っ暗になった。そりゃそうか。ストーブにテレビに電気鍋。そこへ友人がレンジで追い討ちをかけりゃあ、ブレーカーも落ちるだろう。
「え、何?」
「あー待ってて」
ブレーカーを押し上げる。部屋が明るくなり、テレビもついた。
「びっくりしたねー……」
振り返った私はその場で固まった。なんか変なのがレンジの前にいる。けむくじゃらの雪男みたいなやつ。
「え、あ」
「あ、ああ、あう、」
「ちょ、待ち、そこ座って」
聞くところによると、突然の暗闇に驚いて擬態が解けたらしい。本来の姿で友人は何やら弁明していた。
「黙っててごめん。故郷の星が自滅して……」
「何それ話が重ーい」
テレビでは明るいトークが流れ、鍋は沸騰し始めた。
「まあ、肉煮えたから食べよう」
友人がけむくじゃらになった他は、何も変わらない。
「目当ては侵略?」
「いや、難民状態」
度肝を抜かれつつ、今日も飯はうまい。
その他
公開:21/02/14 23:17
1日1話

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

無料の電子書籍をつくりました。
『ショートショート作品集カプセルホテル【】SPACE』
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『枇杷の独り言』
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