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昭和の時代、煙草は男のファッションだった。子供の頃、僕は煙草を吸う父の姿に憧れていた。
「お父さん。どこかに連れてってよ」
休みの日、そうせがむと父は「ウチは貧乏だからこれで我慢せぇ」と言って煙草の煙を吐き出した。その煙は象の形をしていた。
細く煙を吐き、仕上げに大きく息を吐く。その煙はフラミンゴの形をしていた。
僕に煙草の煙を吐きかけると「鏡を見てみぃ」と言った。「ほれ、ライオンじゃ」
僕の顔の周りには鬣のような煙。今考えるととんでもない事だが子供時分は凄く嬉しかった。
父の煙草芸は有名だった。だから父が煙ンピックの日本代表選手に選ばれた時、凄く嬉しかった。
父は技を磨くべく、日夜煙草を吸い続けた。それが原因で父は亡くなった…それも煙ンピック決勝戦の出来事だ。
外国煙選手が父を嗤う。だから僕は誓った。僕がその無念を晴らすと。
この想いだけは煙に巻けない。今、動物煙の幕が切って落とされる!
公開:21/02/15 20:20

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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