猫鳴村(パロディー)

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私の一族は昔猫捕りを生業にしていたらしい。捕まえた猫を三味線の皮革業者に売ったりしていたのだが、動物愛護の観点からやむ無く廃業することになった。しかし、それまで無関心だった隣村の人々から、猫殺し、猫憑きと忌み嫌われ県道に続く唯一の橋を壊されてしまった。
一族は村ごと封鎖され、他と交わる事を絶たれ禁じられた近親婚を続ける事で命を繋いでいた。血が濃くなればどうなるか、皆目をそらせてきたことが現実に起きた。それが私だ。身体は細く、背骨は曲がり生まれてすぐに鋭い歯が生えていた。誰かが猫の呪いだと言った。馬鹿な。こんな身体にしたのは己の欲望を満たすために交わり続けたお前達ではないか。
「おい、愚かな人間供がやってきだぞ」
私は上空のセスナを見上げた。村人達は息も絶え絶え手を振る。ーー来るな、と。
「迎えてやろうじゃないか」
私は猫なで声で仲間を呼ぶ。
「そうね」
妻が紅い口元をぬぐった。
ホラー
公開:21/02/13 15:55
犬鳴村 パロディー 怒らないで欲しいm(__)m

射谷 友里

射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。

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