こうあるべき

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休日は喫茶店で過ごすのが僕の趣味だ。今日は最近できたこぢんまりとした喫茶店に入ってみた。店の雰囲気はレトロな感じで落ち着いており、コーヒーも美味しい。うん、良いお店を開拓できた。だが、1つ気になることがある。それは、この喫茶店を切り盛りしている店員だ。店員は金髪・碧眼のThe王子様な見た目の外国人だ。注文を聞きに来たときその容姿に似合わぬガラガラ声と居酒屋口調にびっくりした。
「風邪とか酒焼けですか?」
「いやちがうっすよ。」
どうやら通常運転らしい。他の常連らしき客も気にしている様子はない。聞くと店員さん、家はお金持ち、名門大学卒業、10カ国語堪能、運動も得意と物語に出てくる万能人間だ。
「声と口調を直せば完璧なのに。」
思わず本音を言うと店員さんは悲しそうな顔で
「普通に話すと誰も私を現実の人間として認識してくれないんですよ。」
と言った。
そこには店員ではなく本物の王子様がいた。
その他
公開:21/02/14 20:35

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