アップデート

現在、人類は、年齢によって人を見分けることが出来なくなった。 それは、とある《処置》によって若返りが可能になったからだった。

20年毎に若返りの《処置》をするかどうか確認の通知が来るので、するも、しないも、自由なのだが、ほとんどの国民は《処置》を希望した。 もちろんしない者もいる。

《処置》はあくまで見た目の若返りであって、細胞自体の若返りではない。体力も、理解力も、実年齢通りに落ちて行く。 そして寿命はいつか必ずやってくる。だが、その日まで少しでも若さを維持したいと、理解力もアップデート出来るように改良を加えた。だが、その脳の方のアップデートも任意なので、する者、しない者で差がでていた。
　
「おい聞いたか？ 今度の《処置》はバージョンアップした《政治家用:見た目とトークver.5.0》らしいぞ。 大臣は全員、記者会見前に絶対やっとけって総理からのお達しだ」