世界の終わり

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 ノストラダムスの大予言の、新解釈が発表された。
「後三年で世界は滅びるってよ!」
学生は勉強をやめ享楽にいそしんだ。

「これまでだって予言なんか当たらなかったじゃないか」
年長者の忠告も若者には届かない。
「新説が正しかったら世界は滅ぶんだから、何やったって無駄無駄!」
 若者は定職にもつかず、浪費生活に明け暮れた。

 三年後、予言は外れた。
「なんだよ、世界は終わらなかったじゃないか」
胸を撫で下ろす若者に年長者は言った。
「いや、とっくに終わっておるよ」
 
 若者たちがなにもしなかった空白の三年間、社会のルールは機能しなくなり、人材は育たず、経済は破綻していた。
その他
公開:21/02/13 23:30
更新:21/02/14 00:20

仁科佐和子( 愛知県 )

児童文学、エッセイ、小説などを書き散らかし、公募にいそしんでおります。

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