偏食家
0
1
僕の彼女は偏食家だ。好き嫌いが多くて、同じものしか食べない。彼女に困りつつ、僕はそんな彼女が好きだから、彼女の為に食料を集めている。
彼女の注文はいつもと同じ。
「大きいのはいやよ。固いから」
「小さい子供のがいいわ。柔らかくて甘くて、あれが一番美味しいの」
ずり、ずりと大きな袋を引き摺って僕は家に帰る。家では、彼女がケーキを作る準備をしているはずだ。これを材料にしたケーキが、彼女の大好物なのだから。
「ただいま」
「おかえりなさい!待ってたわ!」
彼女が汚れた僕に構わず飛びつく。僕は彼女を宥めつつ、袋の中身を見せた。
「大変だったよ。あっちこっち駆け回って探したんだから」
「いつもありがとう。美味しいケーキを焼くから、待ってて!」
そう言って彼女は袋から、小ぶりなニンジンを幾つも取り出してキッチンへ向かった。
小さな森の兎の夫婦の家では、今日も甘いニンジンケーキの香りが漂っている。
彼女の注文はいつもと同じ。
「大きいのはいやよ。固いから」
「小さい子供のがいいわ。柔らかくて甘くて、あれが一番美味しいの」
ずり、ずりと大きな袋を引き摺って僕は家に帰る。家では、彼女がケーキを作る準備をしているはずだ。これを材料にしたケーキが、彼女の大好物なのだから。
「ただいま」
「おかえりなさい!待ってたわ!」
彼女が汚れた僕に構わず飛びつく。僕は彼女を宥めつつ、袋の中身を見せた。
「大変だったよ。あっちこっち駆け回って探したんだから」
「いつもありがとう。美味しいケーキを焼くから、待ってて!」
そう言って彼女は袋から、小ぶりなニンジンを幾つも取り出してキッチンへ向かった。
小さな森の兎の夫婦の家では、今日も甘いニンジンケーキの香りが漂っている。
その他
公開:21/04/19 11:32
コメントはありません
ログインするとコメントを投稿できます