記憶喪失の伝説の忍者

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金も女っ気も無い中年。下を向いて歩く。
人の笑い声で振り返る。見ると自分とは無関係。下を向いて歩く。
突如現れた、くノ一が言う。
「あなたは伝説の忍者。悪の忍者に記憶を奪われた」
証拠に、中年には伝説の忍者だけの技が出来た。

技は、どんな敵も一撃で倒す。
誰にも真似できない間合いと太刀筋。
なぜ出来るのか、中年にも他の誰にもわからない。
技のキレだけが確か。
伝説の伝説たる所以。
くノ一は言う。
「悪の親玉を倒せば記憶を取り戻せるのでは」

親玉が言う。
「俺を倒しても記憶が戻らなかったら? 無益では?」
確かに、親玉を倒すことで記憶が戻るという保証は無い。
しかも親玉がやたら強い。死ぬかも。
が、くノ一の危機に親玉と立ち会う。
親玉を倒す。一撃で。伝説の伝説たる所以。
記憶は戻らず、くノ一は立ち去る。
中年も帰路に着く。前を向いて歩く。
公開:21/04/19 01:51

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