シャッターチャンス

2
2

なーにも、ない。ただぼーっとして。どのくらい時間が経ってたのだろう。なまぬるくなったベットの上でいつまでも寝返りを打っている。夕方になってやっと気付く。一日ってこんなに短かいんだっけ、って。

カラスが遠くで鳴いている。目から涙が溢れる。沼にハマって抜け出せない。周りを見ると自分がいなくなる。だから1人の空間にいつまでも身を置いてしまう。
カラカラに乾いた口の中に、引き出しにあったいつかのドーナツを放り込む。

体を起こして、窓を開けた。もくもくした雲が空に散らばっていた。その間を上手に潜った夕日が街を照らしている。気持ちがいい。

いつもカメラを構えていた。どうしてそんなに空が好きなのか不思議だった。

「後でいいや、って思って、ふと目を逸らした瞬間から変化していくの。自分が好きだなって思った空をちゃんと残しておきたいじゃない?」

君の言葉を、今僕は思い出していた。
恋愛
公開:21/04/19 20:41

きらきらのべる

読書が趣味で、自分でも書いてみたいなと思い始めました。
マイペースに投稿、どうぞよろしくお願いします。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容