赤い糸

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世の中には赤い糸という概念が存在するらしい。

誰にも運命の人がいて、その人とは見えない赤い糸で繋がっているという話だ。

見えないのだから赤いも何もないだろうと思うが、巷ではこういう話を有難がる風潮が少なからずある。

ちなみに僕は恋愛というのが面倒なので、こういう話も馬鹿らしいと思ってきた。

面倒とはいうが、高校時代に同じ部活の女性を好きだった。
でも僕なんかに好きになられても迷惑だろうと、想いは伝えず仕舞いだ。

その後彼女はどうしているかは全く分からない。

さて、なぜ僕がそんな事を考えているかというと、間もなく僕はこの生涯を終える。
病気なので仕方ないとはいえ不本意だ。
どうせなら、あの女性に好きだと伝えればよかった。

まあ、仕方ないか。
さようなら。


彼の死を知らないはずだが、同じ頃に隣街に住む旧友の女性が突然涙が止まらなくなったという。
何か関連があるのだろうか。
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公開:21/04/19 20:17

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