レンタルショップ

古い小さな店がある。ボロボロの看板には、雑に「レンタルショップ」と書かれていた。中に入ると、やる気のなさそうなアルバイトが一人、レジにいる。他に人気はない。
「しゃっせー」
「ここって、何をレンタルしてるんですか」
「色々だよ」
「色々？」
不満げにアルバイトが教えてくれた。
「DVD、CD、漫画、小説…あと、その他。アンタが借りたいものは、何でも借りれる。それが、うちの店。もちろん、あくまでレンタルだからちゃんと返してもらうけど」
「何でも…」
「アンタが欲しいものは、何でも貸してやれる。ここは、そういう場所。で、何が借りたいの？」
「…………………」




「手術、成功したんだ」
「うん」
病院のベッドで、僕の妻が優しく微笑んだ。つられて、僕も微笑む。
「まさかこんなに早く移植する心臓が見つかるなんて」
いずれ返さなければならないけれど。
今の間だけは、2人の時間を過ごしたい。