Ⅲ.弐章 参ト弐 1/3

0
2

 場所は収容所内の庭園。
 休憩終わりに立ち寄ったさんきゅうは、見知らぬ女の子がいる事に気づく。
「あの、君」
「あ、こんにちは」
「え?」
 その子は、さんきゅうに気づくと挨拶をしてきた。着ているのは収容者の制服。かなりくたびれており、胸には"弐"の番号がある。
「まずはあいさつから。…どうしたの?」
「いや…」
「おはよう?」
「夕方だよ」
「おやすみ?」
「寝るのは早いって。こんにちはで大丈夫だから」
「じゃあ、こんにちは」
「こんにちは。ところで君は?」
「あたし。今日ここに来たの」
「そうだったんだ。よろしく。僕は…」
「さんきゅうさん」
「え?」
「あたし漢字読めるの」
 制服を指す女の子。
「いや、これは名前じゃなくて…」
「あたしは、弐」
「弐?」
「ほら。ここに弐って。だから弐っちゃんって呼んで」
「に、弐っちゃん?」
「うん!よろしく、さんきゅうさん」
「よ、よろしく」
SF
公開:21/04/17 08:00
SF 連載 差別 弾圧 戦争

Arujino( 東京都練馬区 )

まずは、こんにちは。

練馬区で活動中の、趣味の絵描きです。

小説・脚本なども執筆してます。

【番号なし】 用語・設定解説

【Ⅰ】 連載作品『WonDer BroS』 探偵と怪盗の対決が娯楽化した世界での物語。

【Ⅱ】 短編連作『Story Of Dri(P)Party』

【Ⅲ】 連載作品『根源悪の牧場』 戦争による差別と弾圧に支配された世界での物語。

【Ⅳ】 連載作品『ドライワンダーに遣う』

【001~】 短篇集『short TaleS』
 

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容