恩を着せる喫茶店

4
2

フラッと立ち寄った喫茶店。マスターが1人で切り盛りする店内には俺以外の客はおらず、お世辞にも賑わっているとは言えない静けさが漂っていた。

「アイスコーヒー」

「かしこまりました」

俺は美味しくも不味くもないコーヒーを飲み干すと「お勘定」とマスターを呼んだ。

「お金は結構ですので、また来てやって下さい」

商売目的ではなく、趣味の範囲内なのだろうか。そんなマスターを粋に感じた俺は次の日もその次の日も、1週間続けてその喫茶店を訪れた。

7日目の今日、俺はコーヒーを飲み終えるとマスターに「今日は流石にお金払いますよ」と言って財布を取り出した。

「いえいえ。じゃあ変わりに少し店番お願いできますか?」

「わかりました」と引き受けた俺はマスターと入れ替わる形でカウンターキッチンへと入った。

ガチャン!

何かのカギが施錠される音と共にマスターは言った。

「後はよろしくね。マスター」
ミステリー・推理
公開:21/04/16 22:39

恋するメンチカツ( 兵庫県 )

多くは語らぬ世の情け、見て感じ取り、考えよ!
次世代喜劇の執筆家、恋するメンチはカツの味!
恋メン劇場いざ、開演!!

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容