心の扉

今日も不登校の女子生徒の家へと向かう。俺は教師だからな。これは当たり前のことだ。
彼女に学校の素晴らしさを説いた。それ以上に俺の素晴らしさを説いた。
彼女に勉強の大切さを説いた。それ以上に俺と一緒に過ごす時間の大切さを説いた。
彼女に友達の良さを説いた。それ以上に俺を彼氏にする良さを説いた。
そしてついに彼女は俺に心を開いてくれた。
彼女は俺を心の中へと招いてくれる。その胸の内へと引き寄せてくれる。
ぱたん…と音がした。俺は赤黒く脈動する不気味な部屋に閉じ込められている。
ここはどこだ？おい！出してくれ！
ドンドンと扉を叩く。すると彼女の嬉しそうな声が聞こえてきた。
『先生は私の大切な人…だからずっと私の中に閉じ込めておくの…』
『先生が私の心臓を強く叩いてくれる…胸の高鳴りが止まらないわ！』
『先生は誰にも渡さない…ずっと私の心の中で生き続けるの…先生、これからも私の心臓を叩き続けてね』