さかさ手紙

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"拝啓  親愛なる私の親友へ
今から貴方に会いに行くよ
敬具  イブより"

手紙が舞ってそれを取った後にぐしゃりと音がした。
風で全身が煽られて一瞬息が止まった。
新品のピンヒールを脱ぎ捨てて外へ飛び出す。

あの時のように後悔しないように。
「直接渡しに来てね」
貴方との約束は守るから。
紙に文字を綴りながら思わず泣いてしまった。
思いが溢れた短い文だけどきっと伝わるだろう。

街の眩しい光景に眩暈がした
震える手を握りしめる。
彼女が言った気がした。
「大丈夫」と、
貴方が背中を押してくれたよ。
貴方が与えてくれた「愛」だった。
ねえ、ソウ、
私は貴方のおかげで今漸く一歩を踏み出せたよ

少し先にいる彼女の手を取った。
私は不格好に笑って、
「本当に私たちって馬鹿だね、ソウ」
「ごめん、でも嬉しいよイブ」
高校の時のように手を繋いで私たちは進む。

その日、暗闇の中に光が一つ灯った。
その他
公開:21/04/18 00:33
更新:21/04/28 22:11
友情 親愛 幸せ 下から読むと意味が変わる

氷魚

不定期に気の向くままに書いてます
誰かの心に少しでも何かが残せるような文を書けるようになるため、日々精進していきます

気に入ってくだされば幸いです

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