人霊不可侵条約の破棄

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神武天皇が霊界と交わしたとされる契りが『人霊不可侵条約』として現在に引き継がれて2600年余り。
存在自体周知されていなかったが政府は唐突に条約が破棄されたと発表した。
現世側への不可侵として幽霊は姿を見せない決まりだったが、鮮明に見えるようになった。
心霊写真の概念が変わり被写体より前にくっきり幽霊が映り込む様になった。
日常生活での霊によるプライバシー侵害が深刻化し、家庭での盛り塩が必須となり、塩の価格高騰に瀕していた。代替の結界を求めて新ビジネスが加熱し、効力の無い粗悪な御札を売る業者が問題となった。
霊界側への見返りは、死後はあの世一択と約束されていたが見直され、あの世、その世、どの世への選択が可能になった事が発表された。
元々あの世にしか対応していない各種お経も対応が急がれ現場は混乱を極めた。
再度条約を結ぶべく、霊界への特使を募ったが当然片道切符の為、未だ特使は決まっていない。
SF
公開:21/04/15 09:47

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

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