Ⅱ-012.式神は”死”を喰らう

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「そういえばこいつに名前はあるんだっけ?」
「"アラヤ"よ」
「そっちじゃない。こいつ自身のだ」
「そういえば、決めてなかった」
 巨大なカワウソが、"死"に喰らいついている。
 妖霊種の夫婦が具象化した"式神"だ。
 生活資源の一種であった魔法技術を、神事での祈祷・演出に用いるようになった事から派生した代物だ。
 周囲の粒子に刺激を与え、変異を起こす錬成魔術と異なり、集約させた粒子に術者のイメージを投影させ具現化させる。優れた術者であれば、仮初の意思を持たせる事もできるが、"創作者"の領分を犯しかねない禁忌性と、不条理な事象を起こしかねない危険性を孕むことから、座礁魔術と呼ばれ、使用は制限されている。
 もっとも"式神"を生み出せるのは、優れた創造力を持つ妖霊種に限られ、神事の際にしかお目にかかる機会はなかった。
 悪夢が現れるまでは。
「決めた。テッペにする」
「雄だったのか?こいつ」
ファンタジー
公開:21/04/13 13:59
ファンタジー 連作 ハロウィン カワウソ 式神 夫婦

Arujino( 東京都練馬区 )

まずは、こんにちは。

練馬区で活動中の、趣味の絵描きです。

小説・脚本なども執筆してます。

【番号なし】 用語・設定解説

【Ⅰ】 連載作品『WonDer BroS』 探偵と怪盗の対決が娯楽化した世界での物語。

【Ⅱ】 短編連作『Story Of Dri(P)Party』

【Ⅲ】 連載作品『根源悪の牧場』 戦争による差別と弾圧に支配された世界での物語。

【Ⅳ】 連載作品『ドライワンダーに遣う』

【001~】 短篇集『short TaleS』
 

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