『あいつ』よりも
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なんで『あいつ』ばっかり…
人が行き交う夕方の駅前広場、おいらはいつも睨んでいる
耳に『あいつ』をあてたサラリーマン達を
電話するならおいらを使えばいい…
あいつよりも受話器が大きいからハッキリ聞こえる…
けれど、そんな嘆きも駅前の喧騒に掻き消される
そんな時、一人の男が目の前に立ち止まった
どうやらあいつで電話しているらしい
「今どこいる?俺は公衆電話のとこにいるんだけどさぁ
え?そんなのどこにあるか分からない?」
おいらを…
すると、電話の途中だったはずの男はあいつを耳から遠ざけた
「あぁ!充電切れちまった、どうしたら…」
あいつよりも…
おいらを…
ほら…!
少しだけ男に近づいてみた
「あぁ!公衆電話!」
ガチャン!
受話器をとる
懐かしい音だ…
しかし、嬉しさも束の間
「あぁ 小銭ないや」
ガチャン!
今宵も寂しい夜の音がする
人が行き交う夕方の駅前広場、おいらはいつも睨んでいる
耳に『あいつ』をあてたサラリーマン達を
電話するならおいらを使えばいい…
あいつよりも受話器が大きいからハッキリ聞こえる…
けれど、そんな嘆きも駅前の喧騒に掻き消される
そんな時、一人の男が目の前に立ち止まった
どうやらあいつで電話しているらしい
「今どこいる?俺は公衆電話のとこにいるんだけどさぁ
え?そんなのどこにあるか分からない?」
おいらを…
すると、電話の途中だったはずの男はあいつを耳から遠ざけた
「あぁ!充電切れちまった、どうしたら…」
あいつよりも…
おいらを…
ほら…!
少しだけ男に近づいてみた
「あぁ!公衆電話!」
ガチャン!
受話器をとる
懐かしい音だ…
しかし、嬉しさも束の間
「あぁ 小銭ないや」
ガチャン!
今宵も寂しい夜の音がする
その他
公開:21/04/12 22:53
『あいつ』・緑の箱
はじめまして!朱月 ねる(あかつき ねる)です!
2021年4月12日、物語を書いてみようと思い始めました!
色々な方々の作品も読ませていただきたいです…!
よろしくおねがいします!
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