雨とカーテン

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教室に響く、鈍いチョークの音。
雨の湿り気を含んだ甘い風が、裾の結ばれたカーテンをふくらませる。
ふーっ、ふーっ、ふーっ、ふーっ
雨の憂鬱さと学生の虚無感を、お腹いっぱいに溜め込んだカーテンは、いつしか、ふわりふわりと空に舞い上がった。
風に吹かれて、あっちへふらふら、こっちへふらふら。
そのカーテンに、飛行中の渡り鳥が追突した。
憂鬱と虚無に感染した渡り鳥は、すぐ下の土地に舞い降りた。
あっちへふらふら、こっちへふらふら。
憂鬱と虚無は、鶏に感染し、豚に感染し、人間に感染した。
地球中に蔓延した憂鬱と虚無は、誰も防止しようともせぬまま、あらゆる生気を貪り尽くした。

皆さんの住むこの世界は、憂鬱と虚無で出来ている。
その他
公開:21/04/12 20:44

かさ( 愛媛 )

来年以降のいきかたが決まりましたヽ(=´▽`=)ノ

コメント読んだりお返事したりするのはとても好きなので、気楽にコメントいただけると嬉しいです。

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