シバザクラ

青々とした葉をつける桜の木を見て、今年は散るのが早かったな…と、ため息を吐く。
そんな私を叱りつける様にぐいぐいとリードを引く愛犬。ああ、すまない。桜はまだ残っていたな。
私の愛犬は柴犬と桜のミックス犬。柴桜犬と呼ばれる犬種だ。
今もピンク色したふわふわの体毛をふさふさ揺らしている。
その度に毛が抜け、地肌近くに緑の体毛が見え隠れしているのを見つける。
夏毛への生え変わりだ。今年の春は暖かかったからな…柴桜犬の毛が抜けるのも早い。そろそろ洗った方がいいだろう。
そんな事を考えていると「にゃー」と声を掛けられた。
塀の上へと目をやると鮮やかなピンクが眩しい猫がいた。この地域で飼われているさくら猫であり、桜とのミックス猫。芝桜猫と呼ばれる猫種。人懐っこくてかわいい。
手を伸ばすとこいつもやはり毛が生え変わろうとしている。
なら今だけはこの手触りを楽しもう。
私は犬と猫を通じ桜を愛でる事にした。