電気の精

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僕はプロの写真家を目指している。
ある日、ドアノブに手をかけると
バチっと静電気に弾かれた。
まあ、いつものことだ。

ところが今日は違う。
手には金色に光る小指サイズの
少年が乗っていた。
少しばかりパチパチして軽く痛い。

「君は?」

「オレは電気の精だ、
お前は静電気体質だから
居心地が良い、
しばらく世話になるぞ」

そして少年は、僕の肩に乗り
いつか雷になるのだと胸を張る。

最近、静電気被害が少なくなった。
電気は彼のほうに流れて行っているようだ。

全てのバチバチから解放され、ささやかな
解放感に浸る。

数週間後、電気の精は改まって言った。
「もう十分力を蓄えたから雷になりに行く。」

鋭く光ると雲の彼方へ消えた。
数日後、大雨が降り雷が鳴った。
僕はシャッターを切った。
データをドットまで拡大すると
あの電気の精が写っていた。

「やったな!雷になれたんだな!」
ファンタジー
公開:21/04/13 22:13

翡翠工房( 石川県 )

時の栞・翡翠工房(かわせみこうぼう)

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趣味は 俳句、写真、イラスト作成
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