桜は遅れてきたけれど

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私の周りはやれ卒業旅行だの進学先がどうだの姦しいが、
私だけ冬の中にとりのこされた。
体調を崩し、滑り止め含むすべての大学に落ちてしまったのだ。
もういやだ、死にたい。

「幸子、来年こそ花が咲くからね。落ち込んじゃ駄目よ」
そういってお婆ちゃんが作ってくれたのは桜ご飯。
来年の先取り。といって笑う姿を見ると最初こそ無神経な、と怒ったがだんだんとそうなりそうな気がしてきた。

そして、お婆ちゃんの言葉を励みに頑張った結果、一年後に私は志望校に見事合格できた。
しかし……。

「お婆ちゃんも自分のことはわからなかったみたいだね」
永遠に年を取らなくなったお婆ちゃんの写真に合格通知を捧げる。
心なしか、写真が泣いているように見えて私ももらい泣きをした。
その他
公開:21/04/13 19:55

ばめどー

ぼちぼちやっていこうと思います。
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