Ⅲ.壱章 弾圧ノ箱 3/3

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 所長が壁を軽くと、壁の中からネズミの鳴き声がする。
「ネズミ?」
「ええ。あと、裏の林にコウモリがいます。この二匹、いつの間にかこの部屋に出入りするようになりましてね。向こうは餌目的なんでしょうが」
「彼が話してたのはその2匹だと?」
「その二匹の侵入が引き金になっているようですね。しかし、あの一端の男を気取ったかのような口ぶり。害獣が年頃の女性にでも見えてるのかもしれません」
 そこに別の看守が入ってくる。
「所長」
「どうした?」
「まもなく収容者が移送されてきますが、支給品に不足がありまして…」
「そんな事か。002番のは残っているか?」
「処分する予定ですが」
「再利用しろ。新品を発注する必要などない」
「しょ、承知しました」
 廊下へと消える看守。
「すいませんね。配属初日からごたごたと」
「いえ、大丈夫です」
「では、移送の手続きの準備をしてもらえますか」
「分かりました」
SF
公開:21/04/10 13:32
更新:21/04/10 23:20
連載 SF 差別 戦争

Arujino( 東京都練馬区 )

まずは、こんにちは。

練馬区で活動中の、趣味の絵描きです。

小説・脚本なども執筆してます。

【番号なし】 用語・設定解説

【Ⅰ】 連載作品『WonDer BroS』 探偵と怪盗の対決が娯楽化した世界での物語。

【Ⅱ】 短編連作『Story Of Dri(P)Party』

【Ⅲ】 連載作品『根源悪の牧場』 戦争による差別と弾圧に支配された世界での物語。

【Ⅳ】 連載作品『ドライワンダーに遣う』

【001~】 短篇集『short TaleS』
 

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