Ⅲ.壱章 弾圧ノ箱 2/3

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「…いやいや、お恥ずかしいとこを見せてしまいました」
 さんきゅうとはまるで違う態度を取り出す所長。
「彼らが…」
「ええ、私の悩みの種です」
「連れてかれた方はまだわかりますが、今の彼は…」
「参級ですか」
「さんきゅう?」
「ここでの階級ですよ。壱級は国民復帰が期待できる者を指しますが、参級はその見込みのない屑の事です。本来は番号で呼びますが、奴はある意味特別なので」
「特別?」
「奴は反戦思想が極めて強い傾向にあるのです。特殊隔離処置をしたいところですが、明確な違反行為をしている訳ではないのでね。もどかしいものですよ」
 薄ら笑いを浮かべる所長だが、スパイスはその表情には憎悪と苛立ちを感じていた。
「ところで、あのハックと呼ばれていた方ですが…」
「001番ですか。ここの最初の収容者ですよ」
「押さえられる前、誰かと話してるように聞こえましたが」
「ああ。それはこいつですよ」
SF
公開:21/04/10 13:30
更新:21/04/10 23:19
連載 SF 差別 戦争

Arujino( 東京都練馬区 )

まずは、こんにちは。

練馬区で活動中の、趣味の絵描きです。

小説・脚本なども執筆してます。

【番号なし】 用語・設定解説

【Ⅰ】 連載作品『WonDer BroS』 探偵と怪盗の対決が娯楽化した世界での物語。

【Ⅱ】 短編連作『Story Of Dri(P)Party』

【Ⅲ】 連載作品『根源悪の牧場』 戦争による差別と弾圧に支配された世界での物語。

【Ⅳ】 連載作品『ドライワンダーに遣う』

【001~】 短篇集『short TaleS』
 

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