Ⅲ.壱章 弾圧ノ箱 1/3

0
2

 静寂が支配した室内に、所長とスパイスが入ってくる。
「治まったようだな。こいつを隔離室に放り込んどけ。明日まで食事は与えなるな」
 看守はハックを抱え上げ、機械のような動きで彼を運び出した。
「おい。起きろさんきゅう」
 部屋には、さんきゅうと呼ばれるもう一人の収容者がいた。
 ベッドで寝ている彼を、たたき起こす所長。
「…所長さん。もう休憩は終わりですか?」
「昼寝とは呑気なものだな。同居人が暴れた際は、貴様も少しは役に立ったらどうだ?」
 ハックがいないことに気づくさんきゅう。
「ハックは?まさかまた連れていったんですか?」
「秩序を乱した結果だ」
「本当に暴れてたんですか?」
「貴様にそんな発言をする権利があるのか?」
「…」
 無言で睨みつけるさんきゅう。それ以上は何も言わず枕元の本を手に取り立ち上がる。
「どこへ行く?」
「まだ休憩時間なので…」
 部屋を出ていくさんきゅう。
SF
公開:21/04/10 13:28
更新:21/04/10 23:18
連載 SF 差別 戦争

Arujino( 東京都練馬区 )

まずは、こんにちは。

練馬区で活動中の、趣味の絵描きです。

小説・脚本なども執筆してます。

【番号なし】 用語・設定解説

【Ⅰ】 連載作品『WonDer BroS』 探偵と怪盗の対決が娯楽化した世界での物語。

【Ⅱ】 短編連作『Story Of Dri(P)Party』

【Ⅲ】 連載作品『根源悪の牧場』 戦争による差別と弾圧に支配された世界での物語。

【Ⅳ】 連載作品『ドライワンダーに遣う』

【001~】 短篇集『short TaleS』
 

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容