誰も居ない家

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散歩中に奥ばった路地に入り込んでしまった。そこには何軒かの古い民家が残っていた。もう誰も住んでいない様で、家の周りには草が生え、蔦がはったりしている。家の外側の板張りには出来た当時は、茶色のペンキが塗られていたと思われるが、長い年月の太陽光によって表面が剥がれ落ち一部のみが残っていた。

窓ガラスは補修の跡も見えるが、何箇所かは破損したままだ。台所であったと思しき上の窓には泥棒避けの木の賛が付いているが、それも1-2本はもう折れてしまっている。そこから虫除けに貼ってあった網も剥がれ風でヒラヒラとしている。
更に昭和のホーロー引きの看板が貼られている家もある、それは水原弘の殺虫剤、由美かおるの蚊取り線香、大村崑の清涼剤だったり、正しく昭和の懐かしき名残であった。

立ち止まりそれら家々をジート眺めていると、突然中から幼少時代の懐かしい仲間や犬が駆け出てきて、一緒に遊ぼうと言った様な気がした。
ファンタジー
公開:21/04/12 06:09
更新:21/04/12 08:26

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