不思議な入浴剤

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ちゃぷん
入浴の時間しかゆっくりできない。つまらない大人になってしまったものだ。
そういえば。
隣に住む友人が製薬会社に努めていて、試作品の入浴剤を感想を聞きに持ってきてくれていた。
シュワシュワ…
入浴剤から爽やかな香りが立ち昇る。
泡が次々と湧き上がっては弾けてゆく。
私の脳裏には、あの頃の懐かしい思い出が次々と映し出されていた。
砂浜から立ち昇る潮の香り、一緒に遊んだ友達の影、花火を見ながら飲んだあのラムネの瓶…
はっとして、私は浴槽で眠ってしまっていた事に気がついた。
頬をぺちっと叩いて目を覚ます。えーっと、何の入浴剤だったっけ。
”あの夏の香り”
ふーん。洒落てる
それにしても、いい夢だったなあ。懐かしくて、暖かくて。
浴槽から上がって、私はぎょっとした。
あの入浴剤。
思い出と一緒に、あの頃のラムネも連れてきてしまったらしい。
私は呆れて、体についたベタベタをシャワーで流した。
ファンタジー
公開:21/04/11 20:38
絵は自作 どうでしょう?

かさ( 愛媛 )

来年以降のいきかたが決まりましたヽ(=´▽`=)ノ

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