蘇った老舗

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「江戸時代から続くこの和菓子屋も、私の代で終わりか……。これも時代の流れか……」
デパートやコンビニスイーツが発展してきた現代、私の経営するこの和菓子屋もついに終わりを迎えようとしていた。今年いっぱいで閉店しようと考えていた矢先、あのギャルに出会った。

「うわー、古い店ー。木目が良い味出てるじゃん。ウケるー!写真アップしよっと」
「いらっしゃいませ」
「ここ和菓子屋さんでしょ?一番おすすめのやつ頂戴!」

私は、狸の顔が焼印してある狸饅頭を彼女に勧めた。

「えー!狸じゃん!マジ可愛いんだけど!これもアップしよっと!」

次の日。店の前が何やら騒がしく、私は外に出て驚いた。まだ開店時間ではないのに、外には並んでいるお客さんでいっぱいだった。

「狸饅頭ください!」
「私も!!」

そう。あのギャルの正体は、SNSフォロワー数一千万人を誇るインフルエンサーだった。こうして老舗は蘇った。
公開:21/04/09 11:36

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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・魔法のiらんど大賞2021小説大賞。大人恋愛部門「彼女の作り方」が予選通過

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ブラウン・シュガー
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