吸血鬼の旅

吸血鬼にとって、この世界は大きすぎる。だから吸血鬼の旅には乗り物と防護服が必要だ。
昔々の吸血鬼は陽の光を避ける為にミノを被り、諸国漫遊をしていたそうだ。それが今では軽量化スーツへと進化している。コイツは日の光を遮るだけでなく着たまま高く飛べるから旅の必需品だ。
それに外部に鋭く突き出たストローのおかげで吸血行為も容易く行える。地肌に噛みつく時代はもう古い。
まあ、地肌に噛みついたところで誰も我々に気付かないだろうけどね。
我々吸血鬼は小さい。１～２ｃｍ程である。
その小ささと血を吸う習性から別名・ノミとも呼ばれている。
そんな我々の主な移動手段は猫である。猫はいい。行動範囲が広く、我々を自由気ままにどこへでも連れて行ってくれる。吸血鬼はネコバスを楽しんでいるんだ。
おっと、陸だけじゃないぞ。海に出れば、ウミネコの背に載って空中ネコバスも楽しめる。
小さい体だが不便はあまり感じていない。