占い

何度も天気予報を確認してはため息を吐く。
明日７月７日、七夕の降水確率は百％と出ている。雨が降れば天の川は渡れない。これでは彦星さんに会えない。
年に１度だけ許された再会…それが今年は叶いそうにない。
「織姫さん、どうされましたか？」
織物を受け取りに来た靴屋の店主が心配そうに聞いてきた。
理由を説明すると「何だ、そんな事か」と笑う。
「お～い、皆ちょっと集まってくれ」
店主は外で遊ぶ子供達に声をかけた。
「今から皆にこの靴で明日の天気を占って欲しい」
そう言って子供達に靴を渡す店主。
子供達は「あーした天気になーあれ！」と無邪気に靴を蹴り飛ばした。
店主はその中から晴れを意味する表向きの靴を拾い集め、それを空へと放り投げる。
「靴は革が化けると書きます。占いで晴れと出た靴を空に投げると…ほら、曇天の向こう、川は穏やかなもの化けましたよ」
化かすのは得意なんですよ、と狐顔の店主は笑った。