素の自分。

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 吾輩は無垢である。だから必要なこと以外はなにもしゃべらない。そして人生なんてどうなろうが知ったことではない。悩みなんて馬鹿らしい。吾輩は傍らにあった聖書を破ってゴミ箱に捨てた。端的に言ったら吾輩はただのアホである。早く死にたい。
 最初から何も期待しない、それに限ると思っていた。だがそんな吾輩の前に女神と呼ぶべき女性が現れた。この人の前では吾輩は雄弁になった。こんな人が現れるまで待っていてよかった。ここに至るまで40年を要したことになる。もうおっさんである。でもこれからでも吾輩は生き直そう、そう思っている。
 だが他の連中は何も変わっていない。生き難さは相変わらずだ。だが女神の前でだけ吾輩は素でいられる。もし彼女がいなかったらと思うとぞっとする。そして局面は打破できないが彼女のおかげで前向きになったと思う。もう死のうなどとは思わないし。うん、これからも彼女の力を借りて歩んでいこうと思う。
その他
公開:21/04/08 12:12
更新:21/04/08 20:16

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