Ⅰ.045 ペルビエの攻防~現地~

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「ようやく来たか」
 美術館に入った我々を王立警察のデニシュ・ブレドが出迎えた。
 今回の盗縛劇に関連した事件で出会い、その流れで警備協力担当となってもらった。
「よろしく。デニさん」
「わん」
「呑気だな。予告までもう90分を切ってるぞ」
「当日の現地入りはこれぐらいでいいのさ。滞在が長いと、どうしても緊張感が緩む瞬間ができるし、行動も読まれやすくなる。舞台の規模に応じて、状況と人員を確認するのに充分な時間だけあればいいのさ」
「なるほど。三本腕の教えか」
 三本腕とはもちろん、我々の師匠のことだ。ただ、弟子としてはこの呼ばれ方はあまりいい気分ではないな。
「警備の方は?」
「打ち合わせ通りの配置だ。15分前に確認した時も変わりなし。…しかし、本当に今日あるのか?」
 嘆息するデニさん。
 無理もない。
 盗縛劇があるにも関わらず、美術館は通常営業で、ちらほらと御客の姿もあったのだ。
ファンタジー
公開:21/04/09 19:51
ファンタジー 連載 怪盗 探偵 美術館

Arujino( 東京都練馬区 )

まずは、こんにちは。

練馬区で活動中の、趣味の絵描きです。

小説・脚本なども執筆してます。

【番号なし】 用語・設定解説

【Ⅰ】 連載作品『WonDer BroS』 探偵と怪盗の対決が娯楽化した世界での物語。

【Ⅱ】 短編連作『Story Of Dri(P)Party』

【Ⅲ】 連載作品『根源悪の牧場』 戦争による差別と弾圧に支配された世界での物語。

【Ⅳ】 連載作品『ドライワンダーに遣う』

【001~】 短篇集『short TaleS』
 

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