だから言ったのに

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夕食の準備をしていると突然幼い息子に抱き着かれた。
「おっ…おばけが出た!」
震える指で押入れを指さす息子。私は内心ほくそ笑むと息子に教えてあげた。
「あれはもったいないおばけよ。食べ物を無駄にしたら出てくる怖~いおばけよ」
おどろおどろしく言う私に「僕!これからは人参もピーマンもちゃんと食べるから」と泣きながら言ってくる。
少し脅かし過ぎたか?私も押し入れへと視線を向ける。
何かがじっとこちらを見ている。それは押入れの扉を開け、こっちに出て来ようとする。
「私も!賞味期限切れで捨てなくて済むよう、ちゃんと考えて買い物するから!」
それに向けて叫ぶと、それは押入れの中へと戻っていった。
「だから言ったのに…」と息子は呟いた。
その出来事を夫にも話す。
夫は私達の話を鼻で笑い、お弁当の食べ残しをゴミ箱へと捨てる。
それを見た何かは夫の腕を掴むと押入れに引きずり込んだ。
「だから言ったのに…」
ホラー
公開:21/04/09 19:33

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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