街路樹の装い

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4月6日、地下鉄、茅場町駅の階段を昇って地上に出て最初の交差点を渡ると桜の街路樹が続いている。もうすっかり葉桜になって細かい緑の模様の天幕がかけられたようになっていた。ある一角に濃いピンクの桜が一つだけ誇らしげに咲いている。それはソメイヨシノの一群の中に紛れた八重桜だった。
 交差する新大橋通りは、プラタナスの街路樹で、桜の花と入れ替わるように、冬の間、落葉して裸木になっていた枝に若葉を吹き出している。
 橋を渡り、新川に入ると、そこの通りはハナミズキの街路樹が道の両側を白と薄紅色の花ではなやかせていた。
 ハナミズキの幹の下は、椿の生け垣が続き、花は終わったが、雀たちの遊び場になっていて賑やかに鳴き声が響いてくる。上空には、巣作りのために小枝を咥えたカラスが飛び、メジロが密やかに花の蜜を吸う。

 今日も花の妖精達が、ビジネス街にも春の装いの作業を密やかに確実にすすめている。
ファンタジー
公開:21/04/06 23:58

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