だから言ったのに

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同じ部署の影の薄い女性に恋をした。
いつも僕らの仕事を陰から支えてくれる縁の下の力持ち。気が付けばついその姿を目で追っている。
声をかけると凄く驚かれた。シャイな彼女との会話は難しかった。
でも慣れてくると彼女も普通に話しかけてくれるようになった。仕事中も目が合ってはお互い顔を赤くしていた。
いつしか僕らは付き合っていた。だけど彼女は結婚には後ろ向きだった。
「私の正体を知ったら…貴方はきっと私を怖がるから…」
そんな事はない!と断言する僕に彼女はそっと靴を脱いで見せる。
彼女には、足の先がなかった。
「私、幽霊なの」
衝撃の告白に思わず後退りしてしまう。
「だから言ったのに…」
涙を残し、僕の前から消え去ろうとする彼女を咄嗟に抱きしめた。
幽霊だから何だ!驚いたけど、僕は君が好きだ!結婚してくれ!
頷いてくれた彼女。僕は足のない彼女を家に連れ帰ると今度は家庭を支えてくれるようお願いした。
公開:21/04/06 19:23

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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