粘土工場

粘土工場では粘土人間たちが働いている。
粘土人間は粘土でできている、器用な人間たちだ。
粘土工場では粘土を作っている。
工場の機械も全て粘土からできている。なので柔らかい機械が多い。
粘土工場が生産している粘土は、粘土機械か粘土人間を作る原材料となる。

粘土人間と粘土機械は年中働いている。そのため時々粘土人間が粘土機械に巻き込まれる事故が発生する。
しかしどちらも粘土なので誰も気にすることはなく、作業が進められていく。ここでは機械と人間とが一体化しているのだ。
巻き込まれた粘土人間が粘土機械になるのか粘土人間になるのかはわからない。区別がつかないからだ。

ある時、粘土工場が火事になった。粘土人間も粘土機械も粘土工場もカチカチに硬くなってボロボロと崩れた。

やがて火事が収まると、新しい粘土が運ばれてきて工場が建ち、粘土人間と粘土機械が粘土人間を作り始めた。