ワルツハイマー病

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奥様は今日もワルツを一人で練習なさっておいでだ。
舞踏会へのお誘いが来るわけでもないのに、健気に踊り続けている。

ご主人様がお帰りになられると、食事もそこそこに二人でワルツを踊られる。ご主人様は嫌な顔一つせず、疲れきるまで奥様のお相手をするのが常だった。

奥様が踊られるのはヨハン・シュトラウス2世の曲だけであり、すでに血肉のように身体がワルツと化していた。

ワルツを踊ることでハイになる、通称ワルツハイマー病と診断されてから早数年。もうお歳なので心配なのだが、一向にワルツ好きが衰える気配はない。

そんな仲睦まじいお二人の間にも不幸が訪れる。ご主人様が心臓の病で亡くなったのだ。

奥様は前にも増して踊り狂うかと思われたが、ピタッとワルツをお止めになった。

ワルツを止めた今の私は本当に幸せです。初めて生きている実感がわきました。
そう仰る奥様の瞳には人智の及ばぬ冷たい光があった。
ミステリー・推理
公開:21/04/06 16:05

わんにゃん( 大阪・京都 たまに東京 )

人生3度目の小説への挑戦です。最初は中高生の時でした。

R2.8.29 初めての利用から数日ですが、コメントされる喜びとコメントする楽しさが分ってきました。こじんまりとしたSNSみたいでいい雰囲気ですね。

フォロー返しは必ずします。コメント返しもします。

【入院】10.29(木)から心臓冠動脈バイパス術で入院します。術日は11.2(月です。
【手術】成功しました。皆様からの応援の賜物と厚く感謝申し上げます。心臓ICUから通信許可出ましたv
【退院】11.14(土)退院。応援有難うございます。ご心配おかけしました。
【他サイト】エブリスタhttps://estar.jp/users/581438913

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