手品ショーの面倒くさい客

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「ここにトランプがあります。種も仕掛けもありません…」
「じゃあ僕の持っているこのトランプと交換してもらってもいいですか?」
「え?」
「種も仕掛けもないんでしょ?」
「…わかりました。ではそのトランプで。」
「ちょっと待ったぁー!」
別の客が立ち上がって叫んだ。
「その男はサクラに違いない!今手渡したトランプにこそ種が仕込んであるんだ!」
「…じゃ、じゃあどうぞ調べて下さい」
すると、また別の客が立ち上がった。
「今の人物こそまさにサクラではないのですかな?念のため私も調べさせて頂きましょう。成分分析をしても?」
さらに…
「あのう、その分析作業を超スローカメラで撮影しても宜しいですか?」
手品師は、ふとここが『超能力科学研究所』の前であることに気づいた。
彼らが求めているのは本物の「超能力」なのだ。
「あ、UFO!」
手品師が叫ぶと客は一斉に空を見上げた。
その隙にトンズラした。
その他
公開:21/04/06 08:38

水素カフェ( 東京 )

 

最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。

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