銅色の桜

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「ねぇ、知ってる?銅(あかがね)色の桜を見ながらお茶を飲むといい事があるんだって」
卒業式の頃、謎掛け好きの都和(とわ)がそんなことを言った。
「いい事って?」
「例えば…素敵な女の子と仲良くなれるとか?」
「じゃあ、絶対に見つけてみせる!」

駅前のカフェで桜を眺めながら思い出す。
必死で「銅色の桜」を探したことを。
意地なんて張らずにすぐ降参すれば良かった。
唇を噛む。
あの日、都和に連絡先くらい聞いておけば…。
「はい、お茶セット」
桜の彫金が施された銅製の茶器だった。
まさかーー
「あの、去年このお店でトワって名前の子、働いてませんでしたか?」
「え、その子ならつい先週までいたよ?」
「…先週、まで?」
店員は僕をじっと見つめた。
電話を繋いで欲しいと僕はお願いした。

「カズ君!?」
「あ、あのさ…去年の話はまだ有効?」
「…うん。…だって、銅色の桜はね、ずっと散らないんだよ…」
ミステリー・推理
公開:21/04/07 19:50
秋田柴子さん『銀色の桜』と 創樹さん『金色の桜』より 銅色の桜で別の話を書く

水素カフェ( 東京 )

 

最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。

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