だから言ったのに

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外に遊びに行けずストレスが溜まる中、遊びに来た友人が山の缶詰なる物を持ってきた。
「これは山を味わう缶詰よ。中に山が詰まっているの」
友人は缶を開けてみせる。缶から溢れ出た山が私の部屋を変化させる。真っ白な壁紙は奥行きのある森林へ、カーペットは草原へと様変わりしていく。
「どう?凄いでしょ?」
友人は部屋の真ん中にテントを張り始めた。
「今日は雰囲気だけでも味わいましょ」
私は切り株に変化した冷蔵庫からビールを持ってくる。鳥の巣箱調のレンジから次々と料理を運び出す。
折り畳み椅子でくつろぐと友人と二人、山を思う存分味わう。
こうなるとアレもやりたくなってくるな…
私は木の枝に変化した何かを部屋の中心に集めると迷う事なく火を点ける。山と言ったら焚火でしょう!
「それはダメ!」
すぐに部屋の火災報知器が反応した。元に戻っていく部屋の中、酔いが完全に冷めた友人が呟いた。
「だから言ったのに…」
SF
公開:21/04/07 19:27

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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