3つ目が見えない

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男は奇妙な症状に気づいた。
手のひらに1粒ガムを乗せる。
続けて1粒、問題は次だ。3粒目を乗せた。
見えない。3粒目が手のひらに無いのだ。
更に乗せると手のひらは4粒に戻った。
しかし日常生活にこれといった支障はまだなかった。
サイコロでも試したが同じだった。でも何故か3の目は確認できる。
窓に目をやる。電線に2羽のカラスが止まっており1羽が飛び立つと急に1羽が姿を現した。
3の要素ではなく集合体として3になった時に発症するらしい。
気づいたが最後、何か重要なモノを見落としてやしないか不安は増していった。
診察を受けよう。脳に何か障害があるに違いない。
病院の予約を取り外出の準備を済ませた。
玄関を出ながら職場に電話を掛ける。
ちょうど2台の車が自宅前に接近するのが見て取れた。
一先ず風邪を欠勤理由にしておこうか。
2台をやり過ごし道路を渡る。

胸騒ぎとそのクラクションは同時だった。
SF
公開:21/04/07 09:55

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

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