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遠い過去に読んだことのある本が必ず揃うという噂の古書店が、東京の神田神保町にある。
店内には古書の匂いがするが、その匂いの主は本の虫だ。本の虫は読書好きの人を指すが、実際に本の虫が存在する。
本の虫は蚕で、その読者に縁のある本を繭によって紡ぎだし、蛹となって開くと、蝶のような本が羽ばたくように出てくる。飛び立った本は所定の棚にきちんと収まる。
本の誕生には繭から蛹を抜き取った副産物があって、美しい繭糸ができる。繭糸は、熟練の織り手がブックカバーや栞に仕立てる。そして、購入者に本とセットでプレゼントされる。
この古書店に正式な名前はないが、昔のことを懐かしく思う懐古と昔を思い返す回顧、そして蚕から「かいこ書店」と呼ばれている。
あなたはどんな本と巡り合えるか、訪ねてみてはいかがだろうか。
店内には古書の匂いがするが、その匂いの主は本の虫だ。本の虫は読書好きの人を指すが、実際に本の虫が存在する。
本の虫は蚕で、その読者に縁のある本を繭によって紡ぎだし、蛹となって開くと、蝶のような本が羽ばたくように出てくる。飛び立った本は所定の棚にきちんと収まる。
本の誕生には繭から蛹を抜き取った副産物があって、美しい繭糸ができる。繭糸は、熟練の織り手がブックカバーや栞に仕立てる。そして、購入者に本とセットでプレゼントされる。
この古書店に正式な名前はないが、昔のことを懐かしく思う懐古と昔を思い返す回顧、そして蚕から「かいこ書店」と呼ばれている。
あなたはどんな本と巡り合えるか、訪ねてみてはいかがだろうか。
青春
公開:21/04/04 07:18
過去
本
古書店
神田神保町
本の虫
読書
蚕
繭
蛹
蝶
1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。
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