そこにある何よりも。

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君に最後に会った時のこと、思い出せば最初にあった時のことも思い出してしまう。いつも照れているのか、肩を少し狭めて、唇を尖らして、僕のことをまだ知らない君はずっと自然に近く美しかった。
 きっと生まれた時からこのままで、僕が生まれる前からこのままで、僕が君に会えなくなってもずっと、そう思わせてくれる。初めて見た私服のこと、いつも長袖を着ているから知らなかった。そんなに細い二の腕で、何をして生きてきたの?久しぶりに会った時もかわらない。何をしても生きていけないような、そのままの形で生まれてきたような。
 彼女を構成するものがバラバラになったとしても、また彼女の形に集まり直すはずだろう。どうしたって、きっとどうしたって。 
 君がそれぐらい自然だから、君の周り全てが君の味方だ。夏の空、何より青い空に、君を引き立てるための雲。そこにある何よりも。
青春
公開:21/04/06 02:05

スイングラオス

小説を書く練習をしています。
 

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