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オーク木香る落ち着いた雰囲気の喫茶店。値は張るが拘りの珈琲は絶品である。
苦めの珈琲は目を覚ますと同時に背筋が伸びる。家の珈琲だとこうはならない。
では気を引き締めて、原稿を進めるとしよう。
ノートパソコンに文字を打ち込む私の職業は小説家。
雰囲気を大切にする私にとってここは最後の砦だ。今日こそ書き上げるぞ!
珈琲を一口飲み、軽食のクッキーを齧る。ん?中に紙が入っているぞ?
「それ、フォーチュンクッキーです。私のアイデアなんですよ」
新人店員の粋な計らいに頬が緩んだ。紙にも『肩の力を抜くと良い』と書かれている。
締め切り前でピリピリしすぎていた。そうだな。もうちょっと気楽に考えよう。
頭を切り替えると筆の進みも早くなった気がした。
店を出る際、店主にクッキーの礼を言う。
「新人?ああそれ、多分レプラコーンの仕業ですね」と店主は苦笑いを浮かべた。
どうやら私の本には妖精のファンがいるようだ。
ファンタジー
公開:21/04/05 18:59
レプラコーン、靴作りの妖精

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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