ステップアップ

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念願の職に就いた私を待ち受けていたのは僻地での勤務だった。
「新人でも務まる現場だし、君の成就力は強い」
『はあ…』
口から出たのはため息のような返事だった。

変化のない毎日。家と職場の往復。気がつけば新年を迎えていた。
こんな日々を変えたくて、
「彼氏が欲しい!運命的な出会いがしたい!」
初詣ではそんなことを祈願した。
その帰り道。

「危ない!」
目の前で脚立が倒れ男性が落下した。出血が激しい。すぐに救急車を手配、次第を見届け、その場を後にした。
「あー、驚いた。ん?」
数メートル先に男性が倒れている。意識はあるが顔色は真っ青だ。またも救急車を……
結局その日一日こんなことが続いた。
「気味が悪い。しばらく外出は控えよう」
私にとって急な変化は恐怖であった。

『願いは叶えてるのになあ…』

女性が助けた男達からもモテモテになるのも、この神社が縁結びで有名になるのも、もう少し後の話。
ファンタジー
公開:21/04/05 06:52
更新:21/04/05 12:08

おおつき太郎

面白い文章が書けるように練習しています。
日々の生活の中で考えたこと、思いついたことを題材にしてあれこれ書いています。


Twitterはじめました。
https://twitter.com/otaro_twi
 

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