春呼ぶ隙間

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「すき ですか?隙間があったら隙間風が入るではありませんか。聞くところによると 何やら世間様には厄介な虫もおられるとか。ですから 扉に隙間があったりしたら困りますわ」「だけれど しっかり閉じられたのでは入れんでしょう?」「まぁ!開いている隙間からなんてはしたないですわ。しっかりと扉へ合図をなさってください」「ですから こうして幾度も合図をしておるのですけれどもね。いやはや…」「あら。ごめんなさい。気づきませんでしたわ。近頃はずっと自宅におりましたのに…急ぎの御用でしたの?」「そうではありません。此の頃は御宅に伺ってはおりませんのでお気になさらず」「お越しになっていらっしゃらないのに扉へ合図を?」「…そういう鈍感さも貴女の美しさですけれどもね」


桜が僕を追い越して彼女の黒髪に色を添えた。

「そろそろ貴女の桜唇からすきをいただきたいものです」
黒髪に指を梳くと頰がぽんっと桜に染まった。
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公開:21/04/05 05:23
更新:21/04/05 05:26

真月。

ご覧いただき ありがとうございます。
よろしかったら読んでみてください。
作品の絵も自身で描いております。

コメントや☆など とてもありがたく思っております。ありがとうございます。
のほんとしたお話や癒しとなっていただけるようなお話を描けたらと思っております。

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