Ⅲ.序章 虚構ノ城 1/3

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 彼がいる場所は、黄昏に染まっていた。
 室内にしては不自然なほどに、全てが朱く染まりきった部屋の真ん中で、項垂れた姿でピクリとも動いていなかった。
「よいしょ…」
 部屋のどこからか声が聞こえる。それは隅の壁に空いた小さな穴からだった。やがて、穴の中から声の主が現れた。
 ラフな服装と眼鏡が似合う女の子だった。穴から這い出たその子は、彼の姿を見つけると一目散に駆け寄ろうとした。
「待ちなさい!」
 それを遮ったのは、窓の格子をすり抜け入ってきたゴスロリ姿と眼鏡が似合う女の子だった。
「何抜け駆けしようとしてんのよ!」
「そっちが遅かっただけでしょ!言いがかりはよして!」
「あんたが慌てすぎなのよ。この調子じゃ、今回も失敗しちゃうわ!」
「うまくいかないのは、あなたの雑なやり方のせいでしょ!」
「なによ!」
「なんなのよ!」
「ううん…」
 彼が動き出した。
『ハック!!』
SF
公開:21/04/02 08:37
SF 連載 差別 弾圧 戦争 精神 虚構

Arujino( 東京都練馬区 )

まずは、こんにちは。

練馬区で活動中の、趣味の絵描きです。

小説・脚本なども執筆してます。

【番号なし】 用語・設定解説

【Ⅰ】 連載作品『WonDer BroS』 探偵と怪盗の対決が娯楽化した世界での物語。

【Ⅱ】 短編連作『Story Of Dri(P)Party』

【Ⅲ】 連載作品『根源悪の牧場』 戦争による差別と弾圧に支配された世界での物語。

【Ⅳ】 連載作品『ドライワンダーに遣う』

【001~】 短篇集『short TaleS』
 

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