海底採掘艇より

「海底に到着。サンプル採掘開始」海底採掘艇の笹尾から交信があった。笹尾は長年の相棒。俺は海の上の探査船で受信する。海底にはレアメタル鉱脈が眠るはず。一山あてて億万長者だ。笹尾は狙った箇所のサンプルを取るはず。しばらく笹尾から交信がない。呼び出してみる。「変だ。海底を掘りながら潜ってるが、掘った下から海水が出てきた」「うむ、とにかく掘ってくれ」
それから十五分。笹尾から「変だ。地層を掘ったら海水のなかに出た。方向はあっている」俺は地層画像をみたが海底地下水はない。「一旦、上がってくれ」「了解」
さらに十分後。笹尾から「おかしい。別の海水に入って、船から遠ざかる。浮上プログラムがだめだ」「プログラムを書き換える」俺はメタプログラムを走らせて艇を引き上げた。
もう上がってもいい頃だ。笹尾から交信「海上に出てる」「どこにも見えないぜ」「近くだよ」「どうした！」「パラレルワールドに入ってしまった！」